りーくんがはじめて迷子になった。
図書館でのことだった。
0歳の頃から通っている図書館の読み聞かせ
馴染みの先生に、馴染みの場所
安心できる場所だった
いつものように30分の絵本タイムが終わって
そのあとの30分は工作の時間
今日はマラカス作り
ペットボトルにビーズを入れるだけ
簡単な作業
通い始めた頃はまだ赤ちゃんだったりーくんも
今では1番おにいちゃんなくらいになった
あっという間に作業を終えて
自分のマラカスを振りながら遊ぶりーくん
他の子たちはまだテーブルを囲んで作業していて
先生2人も同じテーブル
わたしはいつものように
借りて帰る本を選んでいた
今日は、どうぶつの図鑑を借りようと思ってた
いつも絵本を選ぶ棚とは違う、少し奥の棚
りーくんは1度着いてきて、ママの場所を確認したからかすぐに戻っていった
図鑑を物色していて、りーくんの声が聞こえないことに気付いた
りーくんの声は大きくてよく通るから、ちょっと離れててもよく聞こえる
あれ?と思って棚から顔を出して覗くと、りーくんの姿が見えない
ほんの、2-3分のことだったと思う
慌てて飛び出して、りーくんを探すけど
絵本の読み聞かせスペースにはいない
いつもは大判のジョイントマットの上で遊んでるのに
他の棚の後ろを覗きこんでもいない
先生に「りーくん知りません??!」と聞くと
先生たちも慌てた様子で探しはじめる
気を抜いてしまってた
先生たちは、絵本の読み聞かせの先生であって
保育園や幼稚園の先生じゃない
誰でも出入りできる図書館で
りーくんが出て行っても、分からないかもしれない
子どもの絵本エリアにはいない
自動販売機のところにもいない
はっと頭に浮かんだ最悪なパターン
りーくんがママが帰ったと思って車に向かってたら
図書館は3階
エレベーターはまだ自分じゃ使えないけど
もしも階段で下まで降りて駐車場に出てしまってたら
さーっと血の気がひいて、急いで階段に向かったところで
「りーくんいましたよ!!!!奥で泣いてました!!!」
子どもスペースより奥は、一般の人向けの図書館
普段は入ることがないそちらのスペースまで、りーくんはママを探しに行っていたらしい
大泣きしながら先生に抱かれているりーくん
慌てて受け取っても、りーくんは一向に泣き止まない
ひぐひぐと泣いて、離れない
しばらく「もう大丈夫、もう大丈夫」とあやしていても
一向に泣き止まないから
つい、いつものように
「りーくん、いつまでも泣きよらんよ
いい加減しゃんとして」
とちょっときつい口調で言ってしまった
より一層泣き始めてしまったりーくん
本を選ぶことは諦めて、図書館をあとに
抱っこ、抱っことぐずぐず泣くりーくんの手をひいて歩いた
車に乗せるときにまた泣くかな、、と思ったけど
いざ車に着くと、何事もなかったかのように普通乗り込んで
普通に、しゃべり始めた
そこで気付いた
りーくんは、またママとはぐれたら嫌だから
不安で不安で仕方なかったから
絶対にはぐれないように
手を繋ぐよりももっとちゃんと、抱っこしていて欲しかったんだ、と
「りーくん、迷子になっちゃったね?」とそっと話しかけると
「、、、、、こわかった」と一言
図書館で一番おにいちゃんになっても
普段どれだけ口が達者な“くそがき”でも
りーくんはまだ、2歳なのだ
はじめてママとはぐれて
ひとりで図書館の中を探しまわって
怖かっただろう
大人にとってはそんなに広くもない図書館だけど
りーくんの目線からみたら、並んだ棚は迷路みたいだろうし
知らない大人たちの間をぬってママを探して
見つからなくて
泣きだしてしまったりーくんを思うと
りーくんが安心するまで、もっとちゃんと
ぎゅっと抱きしめてあげていたらよかった
と思った
夕方、帰ってきた旦那に今日のことを話した
旦那は、「迷子になって泣き出すりーくん、見たかったなぁ」と笑った
旦那にそんな悪気はない
迷子になったのは驚いたけど、無事見つかって今ここに居るから、ちょっと笑い話にしただけだ
わたしもきっと、その場にいたのがわたしじゃなく旦那で
旦那からりーくんが迷子になった話を聞いたら
「あらりーくん迷子になっちゃったの。うろちょろするからやろ~」
なんて
軽く流してしまっていたんだろう、と思う
でも実際に迷子を経験して
もう図書館でりーくんの目の届かないところに行くのはやめよう、と思う
図書館に限らず、スーパーやお店、公園でも
何度も行ったことがある場所だから
他の人の目もあるし大丈夫
外に出ては、行かないだろう
そんなの分からない。
ママの姿が見えなくなったら、子どもはママを探しにどこまででも行ってしまう
もう、不安で泣いてるりーくんは見たくない
安心している場所が、一番危ない